賑やかな大須商店街で、ひっそりと穏やかに続く喫茶店。
優しいマスターとママさんに会いたくなって、今日も大須へ足を運びます。
今までいくつかの都市と喫茶店を訪れてきましたが、その土地の一番お気に入りの喫茶店、というべき場所があります。多治見なら喫茶ヒヨコ、岐阜市ならル・モンド、そして大須なら「喫茶サン」。
休日は多くの人で賑わう大須商店街にありながら、変わらぬ静けさを保っている都会のオアシスのような喫茶店です。
ひと目で虜になってしまったこちらのロゴマークは、ママさんのお兄さんがデザインされたそう。
顔の造形美とインパクトは言わずもがなですが、「サン」の文字の直線とカーブがまるでテーブルと椅子みたい。喫茶店でくつろぐお客さんにも見えてきませんか・・??(わたしの勝手な解釈ですが・・・笑)
このマークに惚れ込んだのはわたしだけではないようで、こちらのマークを撮影して写真展に入賞した方や自分のお店のロゴにオマージュされた方もいるんだとか!!(もちろんママさんも了解済です◎)
訪れる人すべてを惹きつけてやまない、素敵なデザインです。
喫茶サンが開業してから40年近く。大須の街に地下鉄が開通するよりも前から営業されていたというのですから、歴史の長さに驚きます。
「ずっと大須の街でやらせてもらってるけど、良いこともそうでないことも、ずいぶん色々あったわねぇ」と、ママさん。
今はゆったりとした時間が流れる喫茶サンですが、喫茶店が最盛期の昭和の時代には店内飲食にとどまらず近隣の企業や事務所へコーヒーの配達も行っていたそうです。
「若い頃は、がむしゃらになって働いたものよ。今では体力的なこともあるからのんびりしている方がちょうど良いけど、顔見知りの方がたくさん来てくれるから楽しいわ」
もちろんあなたのような若い方もね、と微笑むママさんはとても朗らかで優しくて、こちらの心もほっこり温かくなっていきました。
料理担当のマスターは寡黙な方と思いきや、わたしと同じオリンパスOM-1をお持ちなんだとか。
「フィルムカメラはねぇ、いいよぉ。自分の想像を超えてくるところが、好きだね。デジタルが流行っている世の中だけど、これからも撮っていってよ」と、ひと時カメラの話で大盛り上がり・・・笑
そんな合間にも常連さんが代わりばんこに訪れて、喫茶サンの時間は流れていきました。
流行が目まぐるしく入れ替わる大須の街にあって、穏やかな空気を保っている「喫茶サン」。大須でのひと休みに、ぜひ訪れてほしいお店です。