甍 – Hibi

お店の前を通りかかる度に、素敵な外装が気になっていた喫茶店。平日営業のため会社が休みの日にようやく訪れることができました。

もう何年も気になり続けていた外観。外壁に堂々と掲げられた「甍」の店名が見る人の心を惹きつけます。

煉瓦タイルと小さな水場、「純喫茶」の文字。そして何より、外壁の「甍」はちょっと飛び出ているところが最高。

もともとは岐阜で昔から続く瓦問屋のお家で（看板にある丸印に三本線のマークは家紋だそうです）、今のママさんのお母様がお店を始められたそうです。
「甍（いらか・・・瓦葺きの屋根のこと）」というお店の名前はここから来ていたんですね◎

お店の奥の壁にも「甍」の文字。岐阜の繊維産業が盛んだった頃はお店も最盛期で、実はこの壁を一度壊して今の倍ほどの広さまでお店を拡張したほどだったそうです。

「昔はウェイトレスの女の子もいて、パフェやデザートも出したりしていたのよ」と教えてくださった通り、綺麗なままのガラスの器が並んでいました。

店名がひとつひとつ刻まれた一揃いの茶器たちをわざわざ出して来てくださって、大興奮のわたし。多治見の焼き物屋さんに作っていただいたものだそうです。

左奥からミルク用、紅茶用（左手前）、コーヒー用（右奥）、昆布茶用（右）。紅茶とコーヒーはスプーンも使い分けられていたり、実は茶色のソーサーにも「甍」の文字が入っていてお店や道具への愛を感じました。

次の日も通って、今度はモーニング。サービスのトーストが我が家と同じダブルソフト（多分）で密かにガッツポーズ。

お店を出た後にママさんがわざわざ追いかけて渡してくださった、お店のマッチ。「甍」の漢字はもとより、平仮名の方にも柔らかな味がありました。

明るいママさんと話せば話すほど、昔の喫茶店の様子とか憧れのアメリカ映画とかまだ実は瓦屋さんも現役なこととか、自分の引き出しの中にないことをたくさん教えられました。
自分がかつての喫茶店文化の最盛期にタイムトラベルすることは難しくても、こうしてお店の方達のお話を聞くと当時の思い出のかけらを分けて頂けるようで、とても嬉しくなった一日でした。

Name甍
Open8時〜17時（？）
Close平日のみ営業
Access岐阜県岐阜市長住町6−4

甍

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